1｜大杉栄『自叙伝』

1921（大正10）年――、雑誌『改造』の求めで連載を起こすも、関東大震災下の「甘粕事件」により、未完で遺された傑作。「陛下に弓をひいた謀叛人」西郷南洲に肩入れしながら、未来の陸軍元帥を志す一人の腕白少年が、日清・日露の戦役にはさまれた「坂の上の雲」の時代を舞台に、自由を思い、権威に逆らい、生を拡充してゆく。 日本自伝文学の三指に数えられる、ビルドゥングスロマンの色濃い青春勉強の記。

- 書　　名：自叙伝

- 著　　者：大杉栄

- 解　　説：大杉豊

- 装　　丁：豊田卓

- 仕　　様：ペーパーバック判（172 × 112 × 24ミリ）312頁

- 番　　号：978-4-9905587-1-0

- 初　　版：2011年9月16日

- 定　　価：952円＋税

一　最初の思い出

二　少年時代

三　不良少年

四　幼年学校時代

五　新生活

六　母の憶い出

七　お化けを見た話　自叙伝の一節

編注／略年譜／解説（大杉豊）

大杉栄〈おおすぎ・さかえ〉1885年、丸亀市に生まれる。「旧い日本を根本的に変革して、新しい日本を建設する」ことを目指した。【評論】『生の闘争』、『社会的個人主義』、『労働運動の哲学』、『クロポトキン研究』、『正義を求める心』、『二人の革命家』（伊藤野枝共著）、『無政府主義者の見たロシア革命』、『自由の先駆』ほか。【随筆・記録・創作】『獄中記』、『乞食の名誉』、『悪戯』、『漫文漫画』、『日本脱出記』、『自叙伝』ほか。【翻訳】ダーウィン『種の起原』、ル・ボン『物質不滅論』、ルソー『懺悔録』（生田長江共訳）、ルトウルノ『男女関係の進化』、ロマン・ロラン『民衆芸術論』、クロポトキン『相互扶助論』、同『革命家の思出』、ハード・ムーア『人間の正体』、ファーブル『昆虫記一』、同『自然科学の話』（安成四郎共訳）、同『科学の不思議』（伊藤野枝共訳）。

大杉豊〈おおすぎ・ゆたか〉1939年、横浜市に生まれる。大杉栄が殺された当日に訪ねた弟が父であり、そこで生まれた。東京都立大学社会学科卒業。東京放送(TBS)入社、調査・営業・編成部門を経て定年退職。東放学園専門学校・常磐大学国際学部講師。編著書に『日録・大杉栄伝』（社会評論社）。

• 9月9日　松下竜一著『ルイズ　父に貰いし名は』（講談社文芸文庫）出版
• 9月16日　大杉栄・伊藤野枝追悼「アナーキー・イン・ザ・JP」開催（静岡）
• 10月20日　出版専門紙『新文化』「ウチのイチ押し」に登場
• 10月27日　新潟・新発田タウン誌『街角こんぱす』で紹介
• 11月9日　読売新聞「本よみうり堂」書評（山本亮氏）
• 11月26日　『図書新聞』書評（栗原康氏）
• 12月1日　東横イン客室専用誌『たのやく』に登場

2012年

• 2月4日　吉田喜重監督『エロス＋虐殺』上映（渋谷ユーロスペース）
• 2月22日　『大杉栄　KAWADE道の手帖』（河出書房新社）発売

2014年

• 10月17日　『美術手帖』書評

◉『美術手帖』2014年11月号

「幼少時代の腕白の数々が、ユーモアをもって描かれている」

◉武良史織氏（MARUZEN&ジュンク堂書店　札幌店）
「近代日本版ハックルベリー・フィンとでも呼ぶべき瑞々しさに溢れた思春期の回想、その中に、帝国陸軍サラブレッドの家系に生まれながらもやがて反戦主義へと傾いてゆく、一人の青年の葛藤がまざまざと読み取れる」

◉石川紘氏（文教堂書店　渋谷店）

「自由というものを求めて、むきになって動き回る主人公が、少し羨ましくなります」

◉栗原康氏（『図書新聞』2011年12月3日）

「いつだって子どもであること。本書は、大杉栄がその人生をつうじて、社会主義のなかになにをみいだしていたのかをはっきりと伝えてくれる」

◉山本亮氏（読売新聞「本よみうり堂」2011年11月9日）

「単純に読み物として興味深いし、現在では失われそうになっている、『実のある楽天家』振りをみせる大杉の生き方は魅力がある」

◉『新文化』（2011年10月20日）

「理論家肌というよりは直情径行型で、ロマンチスト、ストーリーテラーの彼は、生きていればあるいは小説家としても名を成したかもしれない」

◉「ウラゲツ☆ブログ」（2011年10月16日）
「破天荒で赤裸々で、長所も短所もすべて、読者を惹きつけてやみません」

◉和田久太郎（『改造』1923年11月号）

「大杉の無鉄砲な行為、強情な態度——。それらによって僕たちは、どれほど教えられるところがあったか知れやしない。（中略）『お互いがウンとわがままになればいいんだ。そして、そのうえでお互いが腹の底をぶちまけて自由に話し合えば、真っ当に正しい理解をみんなが持つようになるんだ。そこから自由で愉快な社会ができあがるんだ。』／これが大杉君の持論だった」

◉山川均（『改造』1923年11月号）

「大杉君ほど遠目に見ている者からは恐がられ、近づいた人から親しまれた人はない」

◉アルス版『大杉栄全集』広告

「大杉栄氏は現代における一つの新しき戦慄であった。頑丈な骨組み、強い胸板、クリクリした大きな眼、物を叩くような烈しい言葉、彼の現れる所には常に黒旋風が巻き起こった」

◉『東京日日新聞』1924年1月3日朝刊

「氏は頭脳の明晰をもって聞こえた人であった。『自叙傳』の精彩に富み、キビキビとした文章を読むとまったく氏の頭脳の透徹さを思わずにはいられぬ」

◉堺利彦（『東京朝日新聞』1924年1月28日朝刊）

「よほど念入りに面白く書かれている。もしこの筆法で最近のことまで全部書かれていたら、ずいぶん読みでのあるものができただろう。惜しいことをした」

◉堀保子（『改造』1923年11月号）

「大杉のすべてはこの箱の中に納められているのだと思えば気が変になるまで胸がワクワクした。次から次へといろいろな思い出やら想像やらが車の輪のように急転した」

◉近藤憲二（『改造』1923年11月号）

「『君のような調子ではだめだよ。女という奴は少し隙を見せてやらなきゃ近寄ってくるものじゃない』／大杉君はよくこういって、彼のいわゆる女をつくる秘訣を教えてくれたものだ」

- 勝小吉『夢酔独言』1843年

- 福澤諭吉『福翁自伝』1899年

- 森鷗外『ヰタ・セクスアリス』1909年

- マヤコフスキー『私自身』1922年、1928年

- 大杉栄『自叙傳』1923年

- セリーヌ『なしくずしの死』1936年

- 太宰治『正義と微笑』1942年

- 柴五郎『会津人柴五郎の遺書』1945年

- 坂口安吾『風と光と二十の私と』1948年

- サリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・ライ』1951年

- 岡本太郎『青春ピカソ』1953年

- 坂井三郎『大空のサムライ』1953年

- 殿山泰司『三文役者あなあきい伝』1965年

- 瀬戸内寂聴『美は乱調にあり』1965年

- 司馬遼太郎『坂の上の雲』1969年

- 庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』1969年

- 吉村昭『関東大震災』1973年

- ルノワール『ジャン・ルノワール自伝』1974年

- オースター『ムーン・パレス』1989年

- 島田雅彦『君が壊れてしまう前に』1998年

- 四方田犬彦『ハイスクール1968』2001年

- 佐藤優『私のマルクス』2007年

- 坂本龍一『音楽は自由にする』2009年

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