すごい書店でした。
松丸本舗。
出版業に身を置きながら、実は初訪問。
登りたい山をみつけたような、なんだか嬉しい気分です。
書籍の迷宮と表現したいような構えで、入口には、レベッカ・ソルニット著『災害ユートピア』(亜紀書房、2010年)が置かれていました。
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さて、
迷宮に踏み込めば、大杉栄関連書もちゃんと一角を占めています。
その一角の手がかりとして、浅羽通明著『アナーキズム』(ちくま新書、2004年)が挙げられていました。
同書にも、「災害ユートピア」にかんする記述があります。
「なるほど。われわれも、阪神大震災に際して、広域暴力団山口組が食料炊き出しに尽力し、全国から若者がボランティアに駆けつけ、被災者たちには外の者にはわからぬ強い連帯が生じた間近な実例を知っている。これこそ、アナーキズムが説いてきた、自由連合と相互扶助のユートピアの実例ではあるまいか。」(浅羽通明著『アナーキズム』より)
ところが、大正の関東大震災では、ユートピアどころか、対極のディストピアが生まれ、異常な空気のなか、大杉栄は殺されてしまいます。
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1923年から80有余年、
いわゆる「甘粕事件」の現場となった大手町の東京憲兵隊本部からほど近い、丸の内オアゾ・松丸本舗に、大杉栄最後の書『日本脱出記』が陳列されます。
松丸本舗——、すごい書店です。
www.matsumaru-hompo.jp
知的なめまいを感じたくなった日に、ぜひ訪れてみてください。