メーデーです。
1923年5月1日、大杉栄はパリのサン・ドニで激烈な演説をおこない、フランス当局に身柄を拘束されます。
演壇近くにいた四十ばかりの一人の女工らしいのが涙を流し流し、泣き声で「セエサ、セエサ」(そうです、そうです)と叫んでいた。
(大杉栄著『日本脱出記』より)
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数年前のことです。
当ブログの筆者はサン・ドニで、ブラジルの歌手タニア・マリアのコンサートをみたことがあります。
激しくピアノをたたき、ユニゾンで歌う。
大股を開いたスカートの下はなにもつけていない——、という記事を日本で読んでいたのですが、恐らくそんなこともなく、コンサートは白熱して無事に終えたものです。
ごく個人的な感慨で恐縮ですが、ぼくにはこの『日本脱出記』の女工がどうしてもタニア・マリアの印象と重なってしまうのです。
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さて、そんな無駄口はともかく、『日本脱出記』を販売してくれている勇気ある書店を本日もご紹介します。