おはようございます。
*
さて、ちょっとまわりくどい話です。
本をめぐる出版業界では、ウェブ時代にもめげることなく、受発注の連絡に今も Fax が多用されています。
コストの問題はさておき、これにはよい面もありまして、届いた Fax の余白に「よろしく!」と手書きで書かれてあったりすると、それだけで、心がなごみます。
丁寧な字じゃなくても、なぐり書きでいいんです。
もっというと、注文書のキーワードの箇所にすーっとアンダーラインされているだけで、受け入れてもらったみたいで、もう、それはそれはうれしい。
今でいうところの、Facebook の「いいね!」みたいな感覚でしょうか。
みんな忙しい毎日ですから、手軽さがいちばんです。
なかには、ドラえもんのスタンプを毎回ポンと捺してくれる書店もありまして、そんな書店が、ふいと Fax をくれなくなると、なにかあったんじゃなかろうか、と急に心配になったり——人間の営みですね。
*
さて、まわりくどくなりましたが、本題です。
札幌の弘栄堂書店パセオ西店から、2枚の写真が届きました。
大杉栄の『日本脱出記』と『自叙傳』を工夫して、売りのばしてくれている図です。
北海道と東京という距離もあって、実はまだ同店を訪れたことがありません。
担当のSさんにも、お会いしたことがない。
なのに、パセオ西店のことは、なぜかいつも親しく感じます。
理由は、Fax の使い方にあるのかもしれません。
同店から届く Fax には、いつも「S」とサインがあって、そのテン書体にも似た筆跡を目にすると、ああ、札幌はもう紅葉がはじまったかな——なんて、想いは北海道に飛んでいきます。
また、凪のように注文の Fax が止まって、くさくさしているようなとき、突如ウィーンと Fax が届いて、見ると、やはりそのテン書体で「1冊売れました!」と小さく書かれてあったりする。
そんなわけで、
札幌の弘栄堂書店パセオ西店さんのことをいつも親しく感じているしだいです。