関東大震災と大杉栄没後90年

おはようございます。

 

さて、今年は1923年の関東大震災から90年の節目にあたります。

関東大震災の戒厳令下、東京大手町の憲兵隊本部で扼殺された大杉栄(享年38)の没後90年でもあります。

 

この節目の年に合わせて、大杉栄全集の刊行が予告されているほか、静岡の沓谷霊園では墓前祭が、大杉の故郷ともいうべき新潟の新発田ではシンポジウムが企画されているもようです。

 

大杉栄全集は、没後まもなく編集が始まり、1925年にはアルス版が、戦後の1964年には現代思潮社版が出ています。

 

半世紀ぶりとなる2013年に全集を刊行するのは、東京四谷の〈ぱる出版〉とのこと。

シルビオ・ゲゼル『自由地と自由貨幣による自然的経済秩序』(ぱる出版、9500円、2007年)で名高い出版社です。

 

 

大杉栄没後90年の今年、土曜社では2つの企画を進めています。

 

一つは、大杉栄のめざした国際連帯をなぞってみようというわけで、最後の著作となった『日本脱出記』を英訳し、海外で販売します。

 

翻訳は、マルクスの研究者で、現在は日本に暮らし、英字メディアの記者を務めるかたわら日本近代文学を研究する米国籍のマイケル・シャワティさんに依頼しました。

 

もう一つは、戦前の総合雑誌「改造」に寄せられた同志・友人たちの大杉栄追悼論の再刊です。

 

山川出版社の『詳説日本史』はじめ高校の教科書を思いかえせば、大杉栄の「甘粕事件」は章の最後に置かれ、一つの時代の区切りとされていました。

 

また、教科書では「甘粕事件」の3カ月後に起こった難波大助の虎ノ門事件なども別の章で語られていたように思います。関東大震災と大杉栄の死が時代を画した点を強調する効果があるとはいえ、きれいに整理されすぎているきらいも否めませんでした。

 

今回の再刊が、大杉栄の死と同志たちのその後に脚光をあて、関東大震災の前後を連続する歴史としてとらえるきっかけになればと考えています。

 

近く続報させてください。