34|岡崎久彦『繁栄と衰退と』
オランダ史に日本が見える
外務省情報調査局の初代局長として日本の国際情勢分析を担った著者がソ連崩壊の年に世に問うた警世の書。ウェストファリア条約を境とする十七世紀の経済大国オランダの興亡から冷戦後日本の針路を問う。歴史と国策とが交錯する、格好の名著。
- 書 名:繁栄と衰退と
- 著 者:岡崎久彦
- 仕 様:四六判(190 × 129 × 18.7ミリ)288頁
- 番 号:978-4-907511-37-1
- 初 版:2016年4月10日
- 定 価:1,850円+税
も く じ
序 章 大国盛衰論としてのオランダ史
第一章 オランダと大英帝国
第二章 火と剣の支配
第三章 自由か死か
第四章 若き共和国
第五章 世界の海へ
第六章 忍び寄る衰退の影
第七章 宗教的対立からマーカンティリズムへ
第八章 戦備も戦意もないまま戦争へ
第九章 クロムウェルの夢と現実
第十章 カルタゴ滅ぼさざるべからず
終 章 歴史の教訓
著 者 略 歴
岡崎久彦〈おかざき・ひさひこ〉 元外交官。1930年、大連に生まれる。52年、東京大学法学部在学中に外交官試験に合格し外務省入省。55年、ケンブリッジ大学経済学部学士および修士課程修了。在米国大使館、在大韓民国大使館、防衛庁参事官、駐米公使を経てジョージタウン大学戦略国際問題研究所、ランド・コーポレーション、ハーバード大学客員研究員を歴任。84年、初代外務省情報調査局長に就任。同年、在サウジアラビア大使となり、翌年から駐イエメン大使を兼任。88年、駐タイ大使。92年退官後は博報堂特別顧問、読売新聞調査研究本部客員研究員を務め、2002年に岡崎研究所創設。14年永眠。日本エッセイストクラブ賞の『隣の国で考えたこと』、サントリー学芸賞の『国家と情報』、日本近代外交史の『陸奥宗光とその時代』『小村寿太郎とその時代』『幣原喜重郎とその時代』『重光・東郷とその時代』『吉田茂とその時代』のほか、『戦略的思考とは何か』『日本外交の情報戦略』など著書多数。訳書にキッシンジャー『外交』がある。
書 評
この十七世紀の経済大国の繁栄と衰退の歴史のドラマには、現代日本の教訓がよみとれる
松本健一(文芸評論家)
日本経済新聞 1991年8月11日朝刊
日本はかつてのオランダと同じように、軍事大国(アメリカ)からの攻撃をうけることになるのだろうか
松本健一
毎日新聞 1991年8月26日朝刊
日本にオランダの轍を踏まない方策はあるのだろうか。それはまだ分からないが、本書が日本の将来を考えようとする人の必読書であることだけは、疑いもなく確かである
入江隆則(明治大学教授)
文藝春秋 1991年9月号
今後日本は、繁栄の節度を議論する時代に入ることになるだろう。労働力に応じて、慎み深く成長していく。国境の向こうの事情を思いやる気持ちも必要になろう。反面教師としてオランダ史から学ぶことは多いはずだ
牛尾治朗(ウシオ電機会長)
日経ビジネス 1991年9月23日号
私自身、高校、大学時代を通じて、岡崎氏の作品に親しんだ。なかでも韓国駐在の経験をベースに朝鮮半島の人々との関係について考察した『隣の国で考えたこと』、日本の置かれた国際的環境を歴史的戦略的に分析し、日本が取るべき安全保障政策を模索した『戦略的思考とは何か』、めざましい経済的成功をおさめながらイギリスのねたみを買ったために衰退を余儀なくされた十七世紀オランダの姿を現在の日本に重ねあわせた『繁栄と衰退と』という三冊の本は、私をふくめ、戦後かなり偏った教育を受けてきた多くの若者の目をさまし、彼らのものの見方に大きな影響を与えたと思う
阿川尚之(慶應義塾大学教授)
岡崎久彦共著『対論・日本とアメリカ』より
※肩書は当時
こんな本を読んでいる方におすすめします。
[和書・邦訳]
- 大類伸編『小国興亡論』1932年
- モーロワ『フランス敗れたり』1940年
- 岡崎久彦『隣の国で考えたこと』1977年
- 岡崎久彦『戦略的思考とは何か』1983年
- ケネディ『大国の興亡』1988年
- 岡崎久彦『繁栄と衰退と』1991年
- キッシンジャー『外交』(岡崎久彦訳)1999年
- 東郷和彦『歴史と外交』 2008年
- ジョージ・フリードマン『100年予測』2009年
- 出口治明『仕事に効く教養としての「世界史」』2014年
- 佐藤優『世界史の極意』2015年
[洋書]
- The Rise of the Dutch Republic by John Motley, 1856
- History of the United Netherlands by John Motley, 1860–67
- The Rise and Decline of the Netherlands(オランダの興亡) by J. Ellis Barker, 1906
- Profit and Power(経済大国と軍事大国)by Charles Wilson, 1957
- The Rise and Fall of British Naval Mastery(英国海上覇権の盛衰) by Paul Kennedy, 1976
- The Dutch Republic and the Hispanic World(オランダ共和国とスペイン世界)by Jonathan Israel, 1982
- The Embarrassment of Riches(富める故の悩み)by Simon Schama, 1987
- Dutch Primacy in World Trade 1585~1740(世界貿易におけるオランダの優越)by Jonathan Israel, 1989
- Empires and Entrepôts(倉庫帝国)by Jonathan Israel, 1990
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