マヤコフスキー叢書15
47|『私自身(自伝)』
ほかにマヤコフスキーの自伝は、明らかに存在しない
ぼくの詩は届く、世紀の山脈をこえて、詩人や政府の頭上をこえて
36歳で「謎の死」をとげる詩人が、29歳と35歳の二回にわけて書き遺した唯一の自伝。詩的なものへの反撥、三度の逮捕歴、ロシア未来派の誕生、あの大きなルバーシカ、戦争と革命、後年詩人に災いをなす「転向」のことなどが断章式に語られる。未来派マニフェスト「社会の趣味を殴る」も全文収録。日本翻訳家協会特別賞。
- 書 名:私自身
- 著 者:マヤコフスキー
- 翻 訳:小笠原豊樹
- 仕 様:ペーパーバック判(172 × 112 × 5.2ミリ)72頁
- 番 号:978-4-907511-35-7
- 初 版:2017年3月31日
- 定 価:952円+税
も く じ
一 私自身(自伝)
二 社会の趣味を殴る
プーシキン、ドストエフスキー、トルストイ、その他もろもろを現代という名の汽船から投げ捨てるがいい
知らないのかい? ぼくの天才的な友人だ。有名な詩人、マヤコフスキー君
D・ブルリュック(画家)
ブルリュックは私を詩人にしてくれた。フランスやドイツの本を読んでくれた。本を貸してくれた。歩きまわっては、ひっきりなしにお喋りした。いつも私を離さなかった。毎日五十カペイカずつくれた。腹をへらさず書けというのである
V・マヤコフスキー(詩人)
マヤコフスキー詩集を出すときに私が夢みていたのは、実は「優秀な訳者による決定版」などよりもまず、現実的な政治革命であり、政治革命よりもまず、私を含めた周囲のすべてがロシア未来派的な熱狂状態に陥ることであって、この訳書がまさか所謂外国文学畑の一産物として登録され、訳者である私が所謂外国文学者の枠の中に閉じこめられるだろうなどとは夢にも思わなかった
小笠原豊樹(詩人・翻訳家)
著 者 略 歴
ヴラジーミル・マヤコフスキー Влади́мир Влади́мирович Маяко́вский ロシア未来派の詩人。1893年、グルジアのバグダジ村に生まれる。1906年、父親が急死し、母親・姉たちとモスクワへ引っ越す。非合法のロシア社会民主労働党に入党し逮捕3回、のべ11か月間の獄中で詩作を始める。10年釈放、モスクワの美術学校に入学。12年、上級生ダヴィド・ブルリュックらと未来派アンソロジー『社会の趣味を殴る』のマニフェストに参加。13年、戯曲『悲劇ヴラジーミル・マヤコフスキー』を自身の演出・主演で上演。14年、第一次世界大戦が勃発し、義勇兵に志願するも結局、ペトログラード陸軍自動車学校に徴用。戦中に長詩『ズボンをはいた雲』『背骨のフルート』『戦争と世界』『人間』を完成させる。17年の十月革命を熱狂的に支持し、内戦の戦況を伝えるプラカードを多数制作する。24年、レーニン死去をうけ、叙事詩『ヴラジーミル・イリイチ・レーニン』を捧ぐ。25年、世界一周の旅に出るも、パリのホテルで旅費を失い、北米を旅し帰国。スターリン政権に失望を深め、『南京虫』『風呂』で全体主義体制を諷刺する。30年4月14日、モスクワ市内の仕事部屋で謎の死を遂げる。翌日プラウダ紙が「これでいわゆる《一巻の終り》/愛のボートは粉々だ、くらしと正面衝突して」との「遺書」を掲載した。
訳 者 略 歴
小笠原 豊樹 〈おがさわら・とよき〉 詩人・翻訳家。1932年、北海道虻田郡東倶知安村ワッカタサップ番外地(現・京極町)に生まれる。東京外国語大学ロシア語学科在学中にマヤコフスキー作品と出会い、52年に『マヤコフスキー詩集』を上梓。56年、岩田宏の筆名で第一詩集『独裁』を発表。66年『岩田宏詩集』で歴程賞。71年に『マヤコフスキーの愛』、75年に短篇集『最前線』を発表。露・英・仏の3か国語を操り、『ジャック・プレヴェール詩集』、ナボコフ『四重奏・目』、エレンブルグ『トラストDE』、チェーホフ『かわいい女・犬を連れた奥さん』、ザミャーチン『われら』、カウリー『八十路から眺めれば』、スコリャーチン『きみの出番だ、同志モーゼル』など翻訳多数。2013年出版の『マヤコフスキー事件』で読売文学賞。14年12月、マヤコフスキーの長詩・戯曲の新訳を進めるなか永眠。享年82。
マヤコフスキー叢書
- ズボンをはいた雲(入沢康夫)
- 悲劇ヴラジーミル・マヤコフスキー(平田俊子)
- 背骨のフルート(高橋睦郎)
- 戦争と世界(町田康)
- 人 間(佐々木幹郎)
- ミステリヤ・ブッフ(谷川俊太郎)
- 一五〇〇〇〇〇〇〇
- ぼくは愛する
- 第五インターナショナル
- これについて
- ヴラジーミル・イリイチ・レーニン
- とてもいい!(L・カッシリ)
- 南京虫
- 風 呂
- 私自身(自伝)
別巻 声のために
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