56|『大杉栄書簡集』
ある無政府主義者の手紙
僕の家へ手紙を出すなら、その中には僕のことはいっさい書かないように
38年間の生涯で大杉栄が遺した書簡のほぼ全て、188通を収録。『獄中記』『自叙伝』『日本脱出記』の三部作をつなぎ補完する、無政府主義の巨魁と恐れられた男の人生の真実。
- 書 名:大杉栄書簡集
- 著 者:大杉栄
- 編 者:大杉豊
- 装 画:望月桂
- 装 丁:豊田卓
- 仕 様:四六判(190 × 129 × 17ミリ)288頁
- 番 号:978-4-907511-59-3
- 初 版:2018年11月17日
- 定 価:1,850円+税
目 次
Ⅰ 獄中消息
Ⅱ 『近代思想』と自由恋愛
Ⅲ 労働運動へ
Ⅳ 日本脱出
解説(大杉豊)
編 者 略 歴
大杉豊〈おおすぎ・ゆたか〉1939年、横浜市生まれ。大杉栄が殺された当日に訪ねた弟が父。そこで生まれた。東京都立大学社会学科卒。東京放送(TBS)入社、調査・営業・編成部門を経て定年退職。東放学園専門学校・常磐大学国際学部講師。編著書に『日録・大杉栄伝』(社会評論社)。
本 書 よ り
あえてエンゲルスを気取る訳でもないが、年三十に到るまでには必ず十ヵ国をもって吃ってみたい希望だ。それまでにはまだ一度や二度の勉強の機会があるだろう。
堀保子宛・1908年12月19日
まず出版をやってみたい。これは足下もかねて望んでいるところだ。しかし、僕はこれを商売としてよりは、むしろ社会教育の一事業としてごく堅く真面目にやりたい。あるいはその方がかえって商売になるかも知れん。
堀保子宛・1910年1月25日
用事はすべて僕にまかしてくれ。僕ならば、いくら君から我儘を言ってきても、もとより少しも恐れはしない。できんことはほうっておく。できることはできるだけやる。
坂本清馬宛・1914年4月14日
逢いたい。行きたい。僕の、この燃えるような熱情を、あなたに浴せかけたい。そしてまた、あなたの熱情の中にも溶けてみたい。僕はもう、本当に、あなたに占領されてしまったのだ。
伊藤野枝宛・1916年5月1日
金のことだってそうだ。そんなつまらない遠慮をされていてはいやだ。いつも言うように、僕は決して、自分でいやな無理はしない。
伊藤野枝宛・1916年6月25日
アナナス、バナナ、僕はこんなにうまい果物をこんなにうんと毎日食っただけでも、こんどの旅行は十分に値打ちがあると思っている。
伊藤野枝ほか諸兄宛・1923年1月
それから君に言うのをすっかり忘れていたが、僕の家へ手紙を出すなら、その中には僕のことはいっさい書かないように。開封される恐れどころじゃない、必ずされるにきまっているのだから。
林倭衛宛・1923年3月
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